山形市 内科 橘医院 | 認知症患者さんへの対応 2

徘徊とその対応

徘徊とその対応

 徘徊の原因は多岐にわたります。

 

・自宅の部屋の配置がわからなくなり、うろうろする
 部屋に絵を描いてぶら下げておく(トイレにはトイレの絵)と、患者さんの助けになります。

 

・買い物や散歩に行って、迷子になってしまう
 「外出中の無事を祈る、大切なお守りです」といって大き目のお守り袋に入れた携帯電話やGPS装置を持たせる。衣服に名前と住所を書いた名札を縫いつけておく(本人に見えないよう、内ポケットのあたりが良いです)。このように迷子になっても大丈夫なようにしておくと、いざという時に助かります。

 

・家族とのコミュニケーションがうまくいっておらず、自宅が患者さんの居場所ではないと感じ、出て行く
 認知症患者さんは、時間、今いる場所、周りにいる人がわからなくなってくるため、常に「自分の居場所はあるのか?」と不安を抱えています。この特徴をわかった上で、患者さんを受け入れる家族の工夫が必要です。


徘徊とその対応

・以前住んでいた家が「自宅」として患者さんの頭にあるため、今いるところを「自宅」と認識できず、出て行く
・夕方に周りが暗くなると、不安感からせん妄状態(一時的な判断力低下)となり、「自宅に帰る」とか「会社に行く」と外に出て行く(夕暮れ症候群)

 

 患者さんに「ここがあなたの家です」といくら家族が説明しても、納得させることは困難です。患者さんが外に出ないようにするには、出て行く直前にお茶に誘って、出たがっていた気持ちを忘れさせる手があります。ただ、患者さんの外出欲求は、かなり強いものです。そのため「徘徊させない」ようにすると、患者さん、家族ともに、かなりのストレスがかかります。

 

 それよりは、いかに「安全な徘徊」をしてもらうかを考えた方が、現実的です。具体的には「家(会社)に送ってゆきましょう」と家族が一緒に外を歩き、タイミングを見計らって「花がきれいですね」と気をそらせます。患者さんが花に気を取られて散歩のことを忘れたすきに自宅に連れて行くと、上手く誘導にのって帰宅してくれることがあります。

 

 このように実際歩くことで、患者さんの欲求を解消させると、お互いにストレスがたまりにくくなります。玄関が開くとアラームが鳴るようにしておき、出て行ったことがわかるようにすると、家族は早く行動できます。


徘徊とその対応

 山形市では平成26年5月から、「おかえり・見守り事前登録」という制度がスタートしました。あらかじめ徘徊する可能性のある認知症患者さんを登録することにより、いざ行方不明となった時、山形警察署と山形市役所の連携により、捜索してもらえます。

 

 登録を希望される方は、お近くの地域包括支援センターか、山形市役所 山形市長寿支援課(電話 023-641-1212 内線 564・565)までご連絡下さい。


風呂に入らない

風呂に入らない

 認知症患者さんは高齢の方が多く、嗅覚は鈍感になっているため、体臭が気にならなくなります。また風呂で行う手順(服を脱ぐ、風呂につかる、タオルにせっけんをつけて身体を洗う、シャンプーで髪を洗う、風呂上がりに服を着る、など)を行うことが認知症のため難しく、面倒になります。

 

 家族が患者さんを入浴させようとしても、患者さんは家族の顔がわからなくなってしまっていて、「知らない人から服を脱がされる」と感じて抵抗することもあります。このような原因のため、患者さんは風呂に入らなくなります。


風呂に入らない時の対応

風呂に入らない時の対応

 入浴剤を入れて風呂に興味を持たせる、「♪服脱いで、まずお湯かけて、風呂に入るぞ、ホイホイホイ♪」と節を付けて誘導し、楽しい雰囲気で入浴を手伝う、などの方法があります。洗髪時に顔にお湯がかかることを嫌がる場合は、シャンプーハットを使うと良いでしょう。

 

 夜は周りが暗くなり、認知症患者さんの不安が増大するため、日中、明るい内に風呂に入ってもらうと抵抗は少なくなります。デイサービスを利用できる場合は、そちらで入浴をお願いするとよいでしょう。


家族に暴言を吐く

家族に暴言を吐く

 患者さんは、家族が思いやりの心で行った注意・指導の、「思いやり」の部分が、認知症のため読み取れなくなっています。その代わり、家族のキツイ言動や表情を、そのまま「本人への攻撃」と認識して、自己防衛のために家族を攻撃します。

 

 一方他人は、患者さん本人へ優しく対応することが多いため、本人は攻撃されたと感じず、優しく応じます。また患者さんは感情を抑えることが難しくなるため(これも認知症の症状)、ちょっとしたことで声を荒らげる事もあります。


暴言への対応

暴言への対応

 認知症患者さんが興奮し暴言を吐いたら、落ち着かせることがまず大切です。他の家族や第三者などに間に入ってもらったり、暴言を吐かれた家族が一旦その場を離れたりして、患者さんに冷静になってもらいましょう。その上でまず、かゆみや便秘などの機嫌が悪くなる原因がないか、考えましょう。かゆみ、便秘を、認知症患者さんは上手く伝えることが出来ません。

 

 このような原因がなければ、患者さんへの話し方を今後どうしたら良いか、具体的に家族間で考えてみましょう。その際、ケアマネージャーに同席してもらうと、プロのアドバイスがもらえます。腑に落ちないとは思いますが、家族の方で認知症患者さんへの対応を変えることが、現実的です。

 

 患者さんの暴言の程度が著しい場合は、薬を用いる方が良い場合がありますので、かかりつけ医に相談してください。

 

→認知症患者さんへの対応 3